クーリング・オフは、一定の商取引において消費者側が申し込みや注文をキャンセルできる仕組みですが、対象とされる取引の種類やキャンセル可能な期間、手続き方法の詳細をご存じでしょうか?
この記事では、クーリング・オフの仕組みや手続き方法に加えて、事業者に求められる対応を解説します。

クーリング・オフとはどのような制度か?

クーリング・オフとは、一定の商取引において期間内であれば無条件に消費者側から契約の撤回や解除ができる制度です。
クーリング・オフは、消費者保護の観点から1972年に旧・割賦販売法が改正された際に創設、1976年に公布され、現在に至ります(現:特定商取引法)。

クーリング・オフには、”Cooling off”という名称の通り、消費者がひとまず”頭を冷やして”考える期間を作ることで事業者とのトラブルを防止するという目的があります。通常であれば、契約の解除には契約当事者どちらかの業務不履行などがあった場合に認められますが、クーリング・オフは事業者側の業務不履行がない場合でも契約を解除できます。
ただし、いつでも契約を解除できる制度にしてしまうと全ての商取引が破綻してしまうため、解除できる期間や取引形態は厳密に定められています。

特定商取引法でのに基づくクーリング・オフが可能な取引・期間

特定商取引法でクーリング・オフ対象の取引と、クーリング・オフが可能な期間は以下の通りです。

取引類型取引形態期間
訪問販売事業者が消費者の自宅や職場に訪問し、商品・特定権利の販売、サービスの提供に関する契約を締結する取引形態8日間
電話勧誘販売事業者が消費者に電話をかけ(あるいはかけさせ)、商品・特定権利の販売、サービスの提供に関する契約を締結する取引形態8日間
連鎖販売取引商品を購入して販売員となった個人が、さらに新しい販売員を勧誘し、販売組織を拡大する取引形態20日間
特定継続的役務提供長期・継続的にサービスを提供する対価として5万円を超える金額を支払う取引形態8日間
業務提供誘引販売取引事業者が消費者に仕事をあっせんする際に、仕事に必要となる商品やサービスを販売する取引形態20日間
訪問購入事業者が消費者の自宅や職場に訪問し、物品の購入を行う取引形態8日間

特定商取引法以外でのクーリング・オフが可能な取引・期間

特定商取引法以外の法律や約款でもクーリング・オフできる取引があります。
対象の取引と根拠となる法律、クーリング・オフが可能な期間は以下の通りです。

取引の種類根拠となる法律期間
生命保険契約
損害保険契約
保険業法8日間
宅地や建物の取引宅地建物取引業法8日間
投資顧問契約金融商品取引法10日間
冠婚葬祭互助会契約業界標準約款8日間

クーリング・オフ対象外の取引および品目

以下のような取引および品目は、クーリング・オフの対象外です。

  • 特定商取引法で規定のない販売方法や指定商品・サービスの取引
  • クーリング・オフ期間が経過した取引
  • 事業者同士の取引
  • 消費者から販売店に出向き、あるいは事業者を呼んで契約した取引
  • 商品代金が3,000円未満での現金取引
  • 化粧品や健康食品などの消耗品で、実際に使用した部分(未使用部分は対象)
  • 自動車販売および自動車リース
  • 葬儀
  • 通信販売

通信販売のクーリング・オフはできませんが、特定商取引法では返品の可否や条件などを特約として表示していない場合、商品を受け取って8日以内なら返品できるとしています。
特約があるときは、それに従います。返品するための送料は消費者負担です。

クーリング・オフ手続き方法の解説

クーリング・オフは、書面か電磁記録で通知できます。
クーリング・オフの通知に、解約理由は不要です。
クレジットカードを利用して契約したときは、クレジット会社へも通知します。
クーリング・オフについて不明な点があれば、消費生活センターや消費者ホットラインへ相談できます。

問合せ先:国民生活センター全国の消費生活センター等

はがきで通知する方法

クーリング・オフをはがきで通知するためには、事業者がどの契約に対する申し出かを特定できるための情報を記載します。
具体的には契約日や契約者名、商品名、契約金額などを記載し、印鑑や電話番号は不要です。
はがきを発送する前に、記録を残すため両面のコピーを取り保管しておきましょう。
発送するときは、特定記録郵便や簡易書留など、記録が残る方法で送付します。
クーリング・オフは期間内に事業者へ届いていなくても、期間内に発送すれば有効です。
はがきに発信した日付を記入しておきます。

電磁記録(電子メール・webフォーム・FAX)で通知する方法

契約書を確認して電子メールやwebフォーム、FAXなどでの通知方法が記載されているときは、案内に従い電磁記録でクーリング・オフ通知できます。
フォームでは必要項目を入力すれば通知完了ですが、電子メールやFAXでは契約日や契約者名、商品名、契約金額などを記載します。
記録を残すために、送信後の電子メールや送信済みのFAX原稿、クーリング・オフ通知フォームのスクリーンショットを保管しましょう。

クーリング・オフ通知はがきの書き方

クーリング・オフを通知するはがきの記載例です。

<販売事業者あて>

<クレジットカード会社あて>

あて名を書く際に事業者の代表取締役氏名が分からないときは「会社名(わかる場合は部署名も)御中」と記載します。
クレジットカードを利用しているときは、クレジットカード会社あての通知はがきを送付する必要がありますが、通知不要としているクレジットカード会社もあります。

特定商取引法の対象となる取引を行う事業者は書面交付が定められている

特定商取引法では、契約に関する重要事項が記載された書面を消費者へ交付すると定められています。
ここでは、書面交付が定められた取引や、クーリング・オフに関する別紙について解説します。

書面交付が定められた対象取引は6類型ある

特定商取引法で書面交付が定められている取引は通信販売以外の6類型です。

取引類型根拠となる法律
訪問販売特定商取引法第4条、特定商取引法第5条
電話勧誘販売特定商取引法第18条、特定商取引法第19条
連鎖販売取引特定商取引法第37条
特定継続的役務提供特定商取引法第42条
業務提供誘引販売取引特定商取引法第55条
訪問購入特定商取引法第58条の7、特定商取引法第58条の8

参考:e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律
   消費者庁「特定商取引法ガイド

クーリング・オフの対象となる取引を行う事業者は契約解除に関する別紙を交付する

クーリング・オフの対象となる取引を行う事業者は、クーリング・オフに関する情報を記載した書面を交付すると定められています。
契約の重要事項書面やクーリング・オフ別紙に不備があれば、書面そのものを交付していないとみなされます。
消費者がに書面を交付していないとみなされればクーリング・オフ期間が延長されてしまうため、不備のない正確な書面を制作しましょう。

特定商取引のクーリング・オフに関する別紙制作方法

クーリング・オフに関する別紙には、契約の重要書類をしっかり読むことを促す文言や、クーリング・オフ期限やクーリング・オフ通知方法などの法令で定められた事項を記載します。
書式について規定があり、所定の内容については赤枠内に赤字で記載し、文字の大きさは8ポイント以上にすると定められています。
所定の内容については「特定商取引に関する法律施行規則」において、取引形態ごとに記載されています。

クーリング・オフに関するQ&A

クーリング・オフの仕組みや手続き方法、事業者に定められている書面交付について解説しました。
ここでは、事業者の立場から見たクーリング・オフに関する質問にお答えします。

クーリング・オフ通知を受け取ったときはどのようにすれば良いのか?

紛争を避けるためにも、通知を受け取った旨について消費者へ連絡することが望ましいとされています。
通知を受けたあとは、速やかに契約解除や返金手続きを進め、消費者の手元にある商品を引き取ります。

損害賠償や違約金を請求できるのか?

クーリング・オフは期間内であれば、消費者が無条件で契約解除できる制度です。
そのため、クーリング・オフの通知を受けても消費者へ損害賠償や違約金の請求はできないと定められています。
消費者の手元に商品があるときの引取送料は事業者側が負担します。

クーリング・オフ期間の経過後も対応が必要な場合

クーリング・オフ期間が終わっても、以下のようなときは解約に応じなければならないことがあります。

1:書面に不備があったとき

→正当な書面を交付していないとみなされ、クーリング・オフ期間が終わっていないことになる

2:クーリング・オフに対する妨害行為を行ったとき

→クーリング・オフ期間が終わっていないことになる

3:訪問販売と電話勧誘販売において通常必要とされる量を著しく超えて契約したとき

→過量販売解除が適用されて1年以内は解除できる

4:事実と異なる説明をして契約したとき

→消費者が事実と違うことに気付いてから1年、もしくは契約から5年以内は契約取消できる

5:長期にわたる契約のとき

→クーリング・オフ期間経過後は、残りの期間分を契約解除できる

クーリング・オフに関する書面制作はモダンへお任せください

クーリング・オフの対象となる取引を行う事業者は、消費者保護の観点から契約書や重要事項説明書だけではなく、クーリング・オフに関する書面を交付することが定められています。
クーリング・オフに関する書面制作は、ぜひモダンへお任せください。

モダンのソリューション
製品マニュアルの制作
多言語翻訳
教材制作コンサルティング
印刷サービス
動画制作
システム開発
チャットボット
業務マニュアルの制作

〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目12番11号03-5812-1050受付 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

お気軽にご相談ください