保証書は修理義務の証明書?保証書のあれこれを解説

購入した製品が故障した際、ユーザーは製品メーカーもしくは購入した店舗へ問い合わせます。しかし、メーカーから修理や取り替えを拒否されてしまうケースがあります。
このような場合、受けられると思っていたサービスが受けられないため、企業へのクレームにつながってしまうケースがあります。
そもそもメーカー保証書は、メーカーが修理や取り替えを無償で行う義務として定められたものなのでしょうか。
今回の記事は、メーカーが保証書を作成する目的や、どのようなケースで保証の対象になるのかを解説します。

メーカー保証書とは

製品の故障時に提供される重要なサービスですが、法的義務ではありません。本記事では、保証書の役割や作成のポイント、PL法との関連について解説します。

実は保証書作成には法的な義務がない

メーカー保証書の作成は法的に義務付けられたものではありません。保証書作成や修理の実施は、製造主の自発的なサービスです。
そのため、製品の品質上の問題や欠陥がない限り、保証しなくてもメーカー側が罰則を受けることはありません。罰則はありませんが、ほとんどのメーカーが製品ごとに独自の保証内容や保証期限を設定し、サービスを提供しています。

製品の品質を保証する目的で作成される

メーカーが保証書を作成する目的は、製品が正しく機能することを担保するためです。購入時点で製品が不良品であると判明した際は、取り替えや修理が適用されます。

そのため保証書には、購入者がメーカーや製品の品質に対し不信感を抱かないようにする働きがあるといえます。
なお、故障の原因が災害や不適切な使用方法などの場合は品質によるものではないため、保証適用外であることをあらかじめ明記しておきましょう。

メーカー保証とPL法(製造物責任法)との違い

メーカー保証は義務ではありませんが、製品の欠陥が原因となり被害が発生した場合は、その責任を負わなければなりません。

メーカー保証の範囲でカバーできない被害については、PL法で保護されることを紹介します。

PL法(製造物責任法)とは|製品による実害の賠償を定めた法律

PL法(製造物責任法)とは、製造物の欠陥のために、消費者が身体または財産に被害を受けると、賠償請求ができることを定める法律です。
メーカー保証は、保証期間内に起きた意図しない故障や初期不良をカバーするためのサービスです。対して、PL法は期間の定めはありませんが、メーカーの責に帰する理由による損害についての法律であるという違いがあります。

そのため、不良品が正常に動作しないだけではPL法は適用されません。しかし、仮に製品の作用で顧客が怪我をしたり、体調を崩してしまった場合、PL法の下でメーカーは賠償する責任があります。
PL法の適用条件や、対策方法については以下の記事を参考にしてください。

関連リンク:PL対策には取扱説明書が肝心! PL対策のポイントを解説

メーカー保証書を作成する2大メリット

メーカー保証は法的に決められた制度でないことが分かりました。
では、メーカー保証書を作成するメリットは何なのでしょうか。
法的根拠のない保証書による品質保証から得られるメリットは何かを紹介します。

①顧客の信頼を得られる

保証書を作成する企業側の最大のメリットは、顧客との信頼づくりが図れる点といえるでしょう。

一定期間のメーカー保証を付与することで、顧客からの品質に対する信頼性の獲得が可能です。
その期間内であれば修理や取り替えで対応してもらえるという安心を与え、保証期間が長いほど製品の品質が高いことを伝えられます。

②企業の品質改善努力を促進できる

不良品の発生時期や内容に関する報告は、企業内でフィードバックされ、製品の品質向上に貢献します。メーカー保証書を作成することで、顧客は保証を受けるために積極的に故障を報告するでしょう。報告の度にメーカーは不良品の発生原因を探り、品質向上に努めます。

このように、保証の存在が顧客の行動を促し、製品の質を改善することにつなげられるというメリットがあるといえます。

メーカー保証書を作成する際の注意点3点

顧客の信頼を損なわないためには、きちんと保証書を作成する必要があることが分かりました。最後に、メーカー保証書を作成する際に押さえておいた方がよい注意点を3つ紹介します。

メーカー保証書を作成する際の注意点

①公正競争規約を遵守する

メーカー保証書の作成は、製造主の自発的なサービスですが、付帯する製品次第では必要表示事項が決められている場合があります。
例えば、家電製品のメーカー保証書を作成する際は、「家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約及び施行規則」を遵守する必要があり、主な必要表示事項は下記の通りです。

(1) 保証書である旨
(2) 保証者の名称、所在地及び電話番号
(3) 品名及び形名
(4) 保証期間
(5) 保証対象となる部分
(6) 保証の態様
(7) 消費者の費用負担となる場合があればその内容
(8) 保証を受けるための手続
(9) 適用除外に関する事項
(10) 無料修理等の実施者
(11) その他施行規則で定める事項

引用:全国家庭電気製品公正取引協議会「1 公正競争規約 公正競争規約施行規則 (保証書の必要表示事項) 第7条 」

これらを記載するためには、修理対応のルールの整備や、商品テストの実施などを行わなければならないため、メーカー保証書の作成と合わせて準備する必要があります。

②購入日が未記入にならないようにする

メーカー保証書の購入日付欄が未記入にならないようにしましょう。
購入日の記載と店舗印がなければ保証書の効果が発揮されません。
ECサイトを介した取引が普及した結果、未記入の保証書が送付されるという問題が多発しています。保証を受けられないことで、顧客との信頼を失ってしまうと、売上の減少につながりかねません。
そのため、書類への記入を忘れないように注意を喚起するようにしましょう。

③レシートや納品書を保管するよう呼びかける

顧客に製品を販売する際に、レシートや納品書を保管するよう念押しするようにしましょう。顧客に納品時の書類を保管してもらうことでトラブルを防止できます。
購入店名、製品、日時が証明できれば保証の対象です。
そのため、書類を実際に持っておかなくても、メールや画像の形式で残しておいても効果があり、デジタル媒体で保管する方法をおすすめするなどの方法が有効です。

まとめ

メーカー保証の意義や必要性について解説しました。保証書を自社で作成する際は、外部の会社への依頼を検討すると効果的です。

作成業務は、モダンにご相談ください

モダンはマニュアル作成を専門領域とした制作会社です。蓄積したノウハウを用いて御社に合わせた保証書の作成が可能です。
保証書やマニュアルの作成代行をお考えなら、モダンへのご相談をご検討ください。

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