取扱説明書を作成する場合、まず日本語でライティング(執筆)し、英語へ翻訳、英語から多言語へ翻訳することが一般的です。それは日本語が母国語であり、日本で製品を販売することを前提として、海外展開するグローバル企業が多く存在することが要因であると考えます。日本語から多言語展開する場合の弊害としては、文章が長く、文法が主な海外言語と違うことから、誤訳が起きやすく、翻訳される英語が日本人による英語であることからネイティブの方が読むとわかり難いと判断されることが多くあります。ここでは、翻訳費用を加味した英語ライティングのメリットを説明します。
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日本語と英語の言語構造の違い
日本語と英語は、文法、構造、表現などに大きな違いがあります。例えば文法においては、
日本語は、主語+目的語+動詞の順序によって構成されるのが一般的ですが、英語の場合は、主語+動詞+目的語という順序となり、比較的単純な構造となります。よって、英語はシンプルに文章を書くことが可能で、取扱説明書においては、短い文章で的確に説明することができます。
翻訳費用削減と効率化
翻訳の費用は、言語の組み合わせ、専門性、品質要求、ボリュームなど多くの要因によって変動いたします。一般的には、翻訳される文章のワード数に基づいて計算されます。よって、ワード数が少ない方が総合的には翻訳費用を抑えることができます。
ワード数: 日本語⇒英語 > 英語
英語ライティングによる翻訳費用の削減と多言語展開の効率化手法を紹介します。
英語ライティングのメリット
ここでは、英語でライティングした場合のメリットを説明します。
- 英語を母国語(元言語)として扱う翻訳者が多い(相場が安い)
- 多言語展開ソース言語のため、ワンアクションで多言語展開できるので、翻訳費用を削減することができる
- 英語はワード数が少なく抑えられるので翻訳費用が安くできる(時間短縮)
- 文章を短くすることができ、表現方法が明確でシンプルなため、分かり易くなる(英語品質の向上)
- 日本で製品発売しない場合は、取扱説明書を日本語で作成する必要がなくなる(費用削減)
Simplified Englishの有用性と活用法
英語ライティングで大事なことはいかに簡潔に文章を作成するかがポイントになります。このような英文をSimplified Englishと呼び、早い速度で読みやすく、なおかつ機械翻訳など活用の際にコンピュータが理解しやすい文章になります。シンプルな英文作成の重要性と効果的なSimplified Englishの実践方法を紹介します。
英単語は一般的なものを
例:
原文:「Commence the operation」(操作を始めましょう)
変更:「Start the operation」
ワンポイント:CommenceをStartに変えるだけでワード数が少なくなる上、英語が母国語ではない人でも理解できるようになります。
長い文章は分割、1文内の文字数を少なく
例:
原文:「If necessary, you can change the machine’s login service from your computer, whose method can be checked by referring to “Application Guide” on the online manual website.」(必要に応じて、パソコンから本機のログインサービスを変更することができますが、その方法は、オンラインマニュアルサイトの「アプリケーションガイド」を参照して確認できます。)
変更:「If necessary, you can change the machine’s login service from your computer. For details on how to change the login service, see “Application Guide” on the online manual website. 」
ワンポイント: 「1文1義」を原則として、分割できる文は分割して短くします。1文の長さは25ワードを目安にすると読み易くなります。
手順文や箇条書きを活用
例:
原文:「Two authentication methods available are the authentication method that uses the server connected to an external network and the user authentication method where user authentication is possible simply from the main unit even when there are network issues, and they can either be used independently or together.」(外部に接続されたサーバーを利用する認証方式と、本体だけで認証できネットワークのトラブル時にも対応可能なユーザー認証方式の2つの認証方式を持ち、それぞれの単独使用または併用を選択できます。)
変更:「The following two authentication methods are available for this product and can be used either independently or together.
- An authentication method that uses the server connected to an external network
- An authentication method that allows user authentication from just the main unit, even when there are network issues」
ワンポイント: 箇条書きに変更することで、わかりやすくなります。
連続する操作は重複記載省略
例:
原文:「If you cannot proceed forward beyond the Printer Connection screen, check the following.」(プリンタ接続画面から先に進めない場合は、以下を確認してください。)
変更:「If you cannot proceed beyond the Printer Connection screen, check the following.」
ワンポイント: 「proceed forward」だと「前に前に進む」という意味の重複表現のため、改めました
数字はアラビア数字を
例:
原文:「You can connect up to five mobile devices.」(最大5機のモバイル機器と接続できます。)
変更:「You can connect up to 5 mobile devices.」
ワンポイント:字「Five」は翻訳対象としてカウントされるため、アラビア数字にすることで、翻訳費用を抑え、なおかつ誤訳防止につながります。
仕様などの数値を含む文章はNOTEやMEMO欄に
例:
原文:「This machine covers variable file extension, the compatible extension is MP3, MP4 and png.」(本機は可変のファイル拡張子をカバーし、互換性のある拡張子はMP3、MP4、pngです。)
変更:「Compatible extension: MP3、MP4, png」
ワンポイント: 仕様などの内容は文章にせず、箇条書きにすることでより明確になります。
海外展開の戦略と言語選択
例えばスマートフォンの世界シェアは、「韓国サムスン電子」と「米アップル」の2強が市場の半分以上を占め、白物家電は中国家電メーカー「ハイアールグループ」、薄型テレビは、「韓国サムスン電子」・・・など特に家電においては、以前は日本メーカーが独占状態であった市場がすべて海外メーカーに置き換わっていることになります。よって、海外マーケットを販売先として考えるグローバル企業は、英語ライティングの大切さをよく理解しており、英語でのやり取りを行うことから既に英語でのライティングをベースにし、恩恵を得ています。ここ数年では社内公用語を英語にする企業や、外国人ワーカーを積極的に採用する企業が増えております。海外でのビジネスチャンスを増やすために、英語圏の文化や、ビジネスマナーを学ぶことで海外展開を進めやすくする狙いがあるようです。一方で、これまで日本語で取扱説明書を制作し、多言語翻訳を進めてきた企業については、日本語のデータが大きな資産となっていることから英語ライティングを検討するには、ハードルが高いと考えられます。
英語ライティングをご検討の際は、モダンへご相談ください
グローバリゼーションを掲げる企業は多く存在することを踏まえ、人口減少による日本マーケットの縮小によって、取扱説明書の英語ライティングを検討する企業はこれから増えていくと考えます。前途のように、英語(Simplified English)ライティングは、英語を母国語としない外国人に分かり易く、少ないワード数で表現いたします。また、機械翻訳に適した文章にすることで、人による翻訳から機械翻訳に肩代わりすることが現実味を帯びてきています。 多言語マニュアルの品質改善をご検討の際は、是非モダンへご相談ください。
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