効果的なソフトウェア開発プロセスを構築・導入するためには、組織的な基盤作りや開発プロセスの改善が重要です。人材育成やプロセスの定義、テクノロジーの活用といった組織基盤を整えつつ 、アジャイル開発などの反復的プロセスを通じて改善を図り 、定量的な管理手法で開発の効率と効果を高めていくことが大切です 。特に要件定義フェーズの重要性が高まっているため、上流工程への投資と改善にも注力が必要です 。開発プロセスと組織の成熟度を高め、定着させることでソフトウェア品質の向上と開発期間の短縮が可能となります。

ソフトウェアを開発する際には、一般的に以下のような6つの工程があります。

1.ヒアリング及び要件定義

ソフトウェアを開発する際には、最初に何を達成するためのソフトウェアなのかを明確に把握することが不可欠です。そのためには、お客様からの要求とニーズを詳しくヒアリングし、それを基にソフトウェアの完成イメージを共有・整合させます。予算や技術的要因により、すべての要求を実現できない場合もあります。その際には、お客様と対話しながら実装の優先順位や機能の取捨選択を行います。要件定義が精密に行われていないと、完成したソフトウェアがお客様の意図や期待と一致しない可能性があります。そのため、齟齬が無いように、丁寧なコミュニケーションを重ね、明確かつ具体的な要件定義書や開発計画書などを作成します。

2.設計

ソフトウェア開発における設計の段階は、要件定義から導き出された要求とニーズを具体的な解決策に落とし込み、それを実現するためのフレームワークを構築する重要な役割を果たします。設計段階では、ソフトウェア全体の構造や各機能、モジュールがどのように連携し、相互作用するかを定義します。システムのアーキテクチャ、データ構造、ユーザーインターフェース、エラーハンドリングなど、ソフトウェアの各要素を網羅的に考慮します。

設計の質は、その後の開発工程やソフトウェアの長期的な成果に大きく影響します。優れた設計はコーディングを効率化し、テストを容易にします。また、拡張性や保守性を向上させ、システム全体の品質とパフォーマンスを高めます。ただし、設計は静的なものではありません。プロジェクトが進行する中で新たな要件が浮かび上がったり、技術が進化すると、設計もそれに応じて変化します。そのため、柔軟性とバランス感覚が、ソフトウェア設計には不可欠です。

3.開発・実装

開発・実装は、設計書をもとに具体的なコードを作成する工程です。開発者は各機能を実際のプログラムとして実装していきます。この段階では、選択されたプログラミング言語、フレームワーク、ライブラリを活用して、予定された機能を適切に動作させるコードを構築します。コードの効率性と可読性を確保することが重要であり、特に大規模なプロジェクトでは、チーム全体が統一されたコーディング規則やガイドラインに従うことが必要です。

この工程はしばしば反復作業を伴います。開発者は新たな機能を追加し、それをテストし、バグを修正した後、再度テストを行います。この反復的なプロセスを通じて、要件定義と設計工程で計画されたものがソフトウェアとして具体化されていきます。

4.テスト

テスト工程では、開発されたソフトウェアが予定通りに動作し、すべての要求を満たしているかを確認します。単体テストでは、個々のコードが正常に動作しているかを検証します。統合テストでは、異なるモジュールが適切に連携して動作することを確認します。さらに、全体的な機能が要件を満たしているかを評価し、クライアントやエンドユーザーが実際に使用する状況を模擬して、ソフトウェアがビジネスニーズを満たしているかを検証します。

性能テスト、セキュリティテスト、試験運用などのテストも重要です。これらのテストは、バグの特定、エラーの修正、品質の確保に不可欠です。テストはソフトウェア開発の循環プロセスの一部であり、新しい機能が追加されるたびに実行されます。完全にバグのないソフトウェアを実現することは現実的には困難ですが、テスト工程を通じて早期に問題を発見し、修正することで、最終的な品質と信頼性を向上させることが可能です。

5.デプロイ・納品

デプロイ・納品工程では、完成したソフトウェアを顧客やエンドユーザーに提供し、実際の運用環境に導入するための手続きが含まれます。

デプロイは、ソフトウェアを実稼働環境に配置して使用可能にするプロセスを指します。手動でのデプロイから自動化ツールを用いた連続デプロイまで、デプロイの複雑さはプロジェクトの特性や要件によって異なります。

一方、納品はソフトウェアを正式にクライアントに引き渡すプロセスであり、通常は引き渡し文書の提供や最終的な使用許諾契約の完了などが含まれます。また、ユーザートレーニングやサポートプランの詳細、保守とアップデートのスケジュールなど、納品後のサービスに関する情報も提供されます。納品に際しては、弊社の本業であるマニュアルも準備されます。

マニュアルには、ソフトウェアの正しい利用方法に関する機能説明、インストール、設定、および使用手順が記載されます。万が一トラブルが発生した場合に備えてトラブルシューティングもまとめられます。なお、ソフトウェア設計上、予期されるトラブルだけでなく、予期せぬトラブルも含まれるでしょう。

6.保守

  • 問題やバグが発見された時にそれを修正するための保守
  • ソフトウェアの動作環境(オペレーティングシステムのアップデートなど)が変わった場合に対応するための保守
  • 新たなユーザー要求やビジネス需要に対応するために、ソフトウェアに新しい機能を追加する保守
  • 将来的な問題を予防し、ソフトウェアの可読性や信頼性を向上させることにフォーカスした保守

これらの保守活動は、ソフトウェアが変化し進化するビジネスのニーズに対応するため、またソフトウェアの寿命を延ばすために重要となります。適切な保守作業は、ソフトウェアのパフォーマンスを維持すると同時に、新たなバグやセキュリティ上のリスクを低減します。 保守は通常、ソフトウェアのライフサイクルの中で最も時間と費用がかかり、そしてユーザーの満足度に最も直結する部分です。したがって、ここに投資をすることは、製品の全体的な価値を向上させるために極めて重要です。 

ウォーターフォールモデル

ウォーターフォールモデルは、最初の段階で全ての仕様を定義し、その後設計、開発、テスト、導入、保守の段階に進む従来的な開発手法です。各段階が水の流れるように一方通行(下流)のリニアなプロセスであることからこの名前がつきました。

ウォーターフォールモデルの利点は、プロジェクトの進行が明確であり、また全体像を初期に把握できることです。一方で、改変が困難であり、ソフトウェアが完成するまで結果を見ることができないという欠点があります。

アジャイル開発

アジャイル開発は、開発を小さなインクリメントまたはイテレーションに分割し、頻繁にフィードバックを取り入れる開発手法です。これにより、顧客のニーズに迅速に対応でき、リスクを最小限に抑えることができます。

アジャイル開発に関してはこちらの記事を参照ください。

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