オンデマンド印刷

企業の営業活動では印刷物を使用する機会が多く、製作する度にコストがかかっています。製作コストを抑える印刷方法として、最近ではオンデマンド印刷が注目されています。

そこで今回は、オンデマンド印刷の概要やメリットとデメリット、オンデマンド印刷が向いているケース、注意点など、オンデマンド印刷について網羅的に解説します。

オンデマンド印刷の概要

現代の企業では、営業活動において頻繁に印刷物が使用されます。しかし、従来の製版による印刷ではコストがかかります。最近では、この製作コストを抑える方法として、オンデマンド印刷が注目されています。

オンデマンド印刷の印刷方式

オンデマンド印刷の「オンデマンド」とは、「要求に応じて」という意味があります。その名の通り、必要なタイミングで必要な量だけを印刷します。版を使わないため、入稿されたデータを直接読み取って印刷及び製本でき、少ない部数であれば印刷にかかる時間を大幅に短縮できます。

オンデマンド印刷は、版を使用せずにデータから直接印刷する方法です。主に「トナー方式」と「インクジェット方式」が採用されています。

オンデマンド印刷が使われる場面

オンデマンド印刷は、テスト販売、One to Oneマーケティング、頻繁に変更がある印刷物、可変データの利用、ニッチな層への販売などの場面で特に活用されます。

  • テスト販売のため、在庫を多く抱えたくない
  • One to Oneマーケティング(一人ひとりに個別にアプローチ)
  • 頻繁に印刷内容が変わる(更新したい)もの
  • データが可変のもの(QRコードやナンバーが入るチケットなど)
  • 漫画家など、商品の受注業務よりもコンテンツの制作に時間を使いたい
  • オリジナル商品をニッチな層に向けて少量だけ販売したい
  • ギフト作成やチーム用など、単発のアイテムを制作したい

オンデマンド印刷のメリット

オンデマンド印刷には、低価格な小ロット印刷、迅速な納品、在庫コストの削減、用途に合わせた可変印刷など、多くのメリットがあります。

  • 低価格で小ロット印刷ができる
  • 版や乾燥時間が不要なため、すぐにできあがる
  • 在庫コストを削減できる
  • 用途に合わせた可変印刷ができる
  • テストマーケティングに活用できる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

低価格で小ロット印刷ができる

オンデマンド印刷は製版代がかからないため、小ロットであれば低価格で制作できます。ただし、大量印刷の場合は、製版代はかかりますが版を一度作れば印刷コストがそれほどかからないオフセット印刷の方が安価です。

小ロットで必要な分だけ印刷できれば、在庫を抱えることもなく無駄な印刷コストもかからないなど、更なるメリットにつながります。最低ロット数は印刷会社によって異なりますが、最低1部から印刷できる印刷会社も少なくありません。

すぐにできあがる

オンデマンド印刷は、データを作成して入稿したらすぐに印刷工程に入るため、スピーディーな印刷が可能です。
また、インクを乾燥させる時間も必要ないため、発注から納品まで最短1日で完了する場合もあります。
配布や販売まで時間がなく、急いでいる場合はオンデマンド印刷が最適です。

在庫コストを削減できる

通常であれば、印刷会社にオフセット印刷を依頼すると最低ロット1,000部が一般的で、少ない数量で発注しても1,000部相当の費用が発生いたします。しかし、オンデマンド印刷では最低1部から発注できるため、必要数のみを発注することで、オフセット印刷の様に余剰な在庫を抱える必要がなく、売れ残りや、在庫管理の心配が不要です。

用途に合わせた可変印刷ができる

用途に合わせた複数パターン印刷が可能な点もメリットの一つです。例えば、「ベースは同じデザインで、イラストの一部分だけを変える、固有のQRコードを入れる、抽選番号を1文字ずつ変えて連続で印刷する」という可変のデータにも対応できます。
また、版を持たないオンデマンド印刷だからこそ複数パターンの印刷もコストを抑えて発注できます。
複数パターンの印刷は、オフセット印刷では版を作り直す必要があるためコストがかさんでしまうため、オンデマンド印刷ならではのメリットです。

テストマーケティングに活用できる

オンデマンド印刷は必要なタイミングで必要な量だけ印刷できるため、テストマーケティングに活用できるというメリットもあります。
例えば、3パターンのデザインのチラシをオンデマンド印刷で少量印刷し、顧客の反応を確認した後に最も良いパターンのチラシをオフセット印刷で大量印刷するという手法が使えます。

オンデマンド印刷のデメリット

オンデマンド印刷のデメリットには、大量印刷のコスト増加や特殊色への印刷が不向きなどが挙げられます。

  • 大量印刷はコストがかかる
  • 特殊色や特殊紙への印刷には不向き

それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。

大量印刷はコストがかかる

オンデマンド印刷は、1枚印刷するごとに料金が加算されるため、大量に印刷するとコストが高くなります。小ロット印刷の場合はオンデマンド印刷の方がコストを抑えられますが、大量印刷したい場合はオフセット印刷の方が費用対効果が良いでしょう。

特色印刷・特殊紙への印刷には不向き

オンデマンド印刷は、特色印刷や特殊紙への印刷は基本的にできません。
特色印刷は、一般的なカラー印刷(C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=クロ)では作ることができない色味を表現するために「特色インキ」を使用する印刷のことです。また、特殊紙とは、厚みが特別に厚い、薄いもの、表面が凹凸があったり、表面処理されているものなどオンデマンド印刷には適さないものとなります。
特色印刷をしたい場合や特殊紙へ印刷したい場合はオフセット印刷を利用しましょう。

オフセット印刷に画質が劣る?

オンデマンド印刷はオフセット印刷と比較されがちですが、画質という観点ではオンデマンド印刷よりもオフセット印刷の方が綺麗に印刷できます。なぜなら、版をつくるオフセット印刷の方がより高繊細に印刷できるからです。
もちろん、オンデマンド印刷も複合機に比べると高画質で印刷できます。しかし、グラデーションの滑らかさや淡い色調の表現という面で比較すると、オンデマンド印刷はオフセット印刷に劣ります。

オフセット印刷・オンデマンド印刷の比較

オンデマンド印刷とオフセット印刷には、版の有無や解像度、対応用紙、数量、納期などの違いがあります。

オンデマンド印刷とオフセット印刷の主な違いは、以下の表の通りです。

オンデマンド印刷オフセット印刷
解像度600 dpi2400 dpi
着色方法トナー方式、インクジェット方式版についたインクをブランケット胴に転写(オフ)し、紙に転移(セット)
対応用紙特殊紙は不可ほぼ全ての用紙に対応
対応サイズA3以下ほぼ全てのサイズに対応
数量数十部〜数百部数百部〜数十万部
必要納期即日〜7営業日〜
印刷後の加工高熱をかける加工は不可ほぼ全ての加工に対応可

このように、汎用性が高い印刷方法はオフセット印刷ですが、小ロットや急を要する印刷はオンデマンド印刷が適しています。

ケース別:オンデマンド印刷・オフセット印刷の使い分け

ここまで、オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いを比較しました。用途に応じてオンデマンド印刷とオフセット印刷を使い分けることで、無駄なコストを抑えた効果的な印刷が可能です。
小ロット印刷が可能で、最短即日納品と印刷期間も短いオンデマンド印刷は、印刷納期を早めたい場合、ノベルティやテストマーケティングのための印刷などに適しています。一方で、大量ロット印刷が可能でさまざまなサイズや用紙、加工などに対応が可能なオフセット印刷は、大量生産を必要とする印刷、ハガキや名刺サイズの印刷、写真印刷などに適しています。
このように、それぞれの特徴を知り、オンデマンド印刷とオフセット印刷を有効に活用しましょう。

オンデマンド印刷を入稿する際の注意点

オンデマンド印刷を依頼する際には、Officeデータの変換、色の確認、中綴じ製本の適否などに留意する必要があります。

  • Officeデータの注意点
  • 色の違い
  • 中綴じ製本は、ページ数が多い場合は不向き

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

Officeデータの注意点

Word、EXCEL、PowerPointなどのOfficeファイルは、Officeバージョン、パソコンの環境によって、フォントや、改行位置が異なり、レイアウト崩れが発生し、場合によってページ数も変わってしまいます。印刷依頼の際は、印刷用PDFに変換し、手配することをお勧めいたします。

色の違い

パソコン画面で見る色はRGBで表現されますが、オンデマンドやオフセット印刷機は、CMYK(プロセスカラー)で出力されますので、同じ色が再現されないことを事前に理解しておく必要があります。

中綴じ製本は、ページ数が多い場合は不向き

オンデマンド印刷の中綴じは、ページ数が多い本には不向きです。なぜなら、オンデマンド印刷の中綴じは折機を使わずに綴じるため、限界があります。
ページ数が多めの中綴じを発注したい場合は、事前に発注会社に確認した方が良いでしょう。

質の高い制作会社をお探しの際は、当社モダンまでご相談ください。

40年以上の経験を持つモダンは、オンデマンド印刷を含むさまざまなサービスを提供しています。印刷に関する詳細やご相談は、お気軽に当社モダンまでお問い合わせください。

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