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デザイン思考で情報整理

デザインは私たちの生活と密接に繋がっており、身の回りにある多くのものがデザインされていると言えます。一口にデザインと言っても建築やインテリア、衣服など多岐に渡りますので、今回は弊社の業務である印刷物やWeb制作に絞り、デザインする上でのポイントを紹介します。
デザインを進めるには、お客様のご要望を元に、課題の洗い出しや利用目的を明確化するための情報整理が必要不可欠となります。新しいモノが溢れている現代においては、お客様自身も“欲しいモノ”が明確ではないことが多く、この情報整理が不十分だとコンセプトやデザイン指針に大きなブレが生じることになるためです。指針にブレがあってもデザインは進められますが、結果としてお客様の満足を得ることはできません。情報整理やコンセプト設計はデザインの核とも言えるもので、仮説と検証を繰り返しつつ、お客様との対話で答えを見つけるデザイン思考が重要となります。
デザインコンセプトの設計

お客様の課題は何か、課題をどのように解決するか、どのような表現で誰に伝えるかなど、デザイン進行中に道を見失うことのないよう指針となるデザインコンセプトを設計します。
デザインコンセプトはデザインの核となりますので、前述の通りブレが生じないようお客様やプロジェクトメンバーと対話、共有しながら設計することをおすすめします。対話による設計においては、概念的な情報(例えば高級感やスタイリッシュなデザイン)だけではなく、具体的な情報(既存デザインや参考画像など)を元に詰めることで、よりお互いの認識を一致させることができます。
デザインコンセプトを元に制作
制作する媒体(取扱説明書、ポスター、カタログ、Webサイトなど)やコンセプトによって表現手法を変えることが多いため、ここではデザインする上で最低限意識しておくとよいポイントについて紹介します。
以下のポイントを意識することで見栄えだけでなく訴求効果も大きく変わります。
- 視線誘導を意識する
- グリッドレイアウトを利用する
- 余白を有効に活用する
視線誘導を意識する
多くの場合、伝えたい情報には流れ(見せたい順序)が存在します。それを考慮しないデザインでは、見る側が情報を理解するまでに多くの時間を要するなど、情報伝達にロスが生じます。
ロスを最低限にするためには、視線誘導を意識したデザインが重要となります。
例えば下図のような画像の場合、最初に見る場所はどこでしょうか。

人によって枠、画像の左上、右下、中心など見る場所はバラバラになります。
では、以下の画像ではいかがでしょう。

見る側の多くは、右下の「青●」が目に入るのではないでしょうか。これが視線を誘導しているということになります。多くのデザインで視線誘導は重要となりますので、常に意識してデザインすることをお勧めします。
視線誘導にはいくつかの手法が存在しますので、よく使われる手法を紹介します。
法則による誘導(Z型)

横組みの場合、一般的に人の視線がZで動く(①左上→②右上→③左下→④右下)とされていることから利用される手法です。見せたい情報をこの流れに沿って配置することで、見る側のストレスが低減されます。Z型以外にF型やN型などもありますので、制作する内容やコンセプトに応じて使い分けるとよいでしょう。
ジャンプ率による誘導


ジャンプ率とは、デザイン上の画像やテキストなどのサイズ比率を指します。表現手法にもよりますがジャンプ率が高いほど要素がグループ化され視認性が高まります。ただし、ジャンプ率が高ければ良いわけではないため、全体的なバランスを確認、調整しながら最適と思われるジャンプ率を決めていくとよいでしょう。
その他の誘導手法(配色/数字)


いかがでしょうか。デザインコンセプトなどにより手法は変わるため、一概にどれがよいとは言えませんが、視線誘導を意識したデザインは、読み手の理解度やストレス低減、受けるインパクトに大きく影響しますので是非活用してください。
グリッドレイアウトを利用する
グリッドレイアウトは、仮想の水平線と垂直線をガイドとして各要素を配置していく手法です。グリッドに沿ってレイアウトしていくことで視認性や可読性を高めることが可能となります。
このグリッドレイアウトは、カタログやポスター、広告、Webサイトなどほとんどの媒体で活かされています。

グリッドレイアウトは整った印象を与える反面、単調なレイアウトになりがちですので、デザインに動きを求める場合は、あえて要素の一部をグリッドから外したり、要素に角度をつけたりしながらレイアウトすることもあります。記載する情報量やコンセプトを元に、繰り返し試しながら最適な見せ方を決めるとよいでしょう。
余白を有効に活用する
視線誘導やグリッドレイアウトの重要性は前述の通りですが、情報が順序よく整列されていたとしても、その情報が混然としていては可読性が高いとは言えません。例えば下図ではいかがでしょう。

一見、ジャンプ率もありグリッドにも沿っているため問題はないように思えますが、少し窮屈に感じませんか。それは各要素間に適切な余白がないためです。では下図はいかがでしょう。

若干ジャンプ率など変更していますが、読みやすくなったように感じないでしょうか。
仕上がりの端からレイアウトスペースまでの間隔、各要素間のスペース、文字の行間などの余白活用は全体イメージを決める大切な手法です。適切な余白により、どの要素がグループなのか判別しやすくなりますので視認性を高めることにも繋がります。是非活用してください。
ただし、どのくらいの余白を必要とするかは一概に決めることができません。与えられた紙面サイズや情報量、ページ数の制限などで変わるからです。上の図も、余白は確保していますがレイアウトスペースが高く(長く)なっています。仮に高さに制限がある場合、同様の処理はできませんのでフォントサイズや行間を再調整したり、アイコンや罫線を利用したりするなどして視認性、可読性を高めるようにします。

今回はデザインする上で、意識しておくとよいポイントについて紹介しました。今後のコラムでは、これらのポイントを活用した名刺デザインについても紹介する予定です。
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