業務マニュアルをどのように作成するべきか

引継ぎや社員教育などの目的で「業務マニュアルを作成せよ」という指示を受けることがあります。「普段自分がやっていることを文章として書き出すだけだから簡単」とたかをくくって引き受けたものの、いざ作り始めてみると、「どこから手を付けて良いか分からない」「何を書くべきなのか分からない」などの悩みが続出し、途方に暮れてしまうことがあります。
それもそのはず、あなた自身が数年、場合によっては数十年かけて習得した業務は、簡単に文章化できるほど単純なものではないはずなのです。
そこで今回は、不慣れな方が業務マニュアルを作成する際に陥りがちなお悩みを紹介するとともに、業務マニュアル作成のプロはそれらのお悩みをどう解決しているのかについて解説します。
本コラムを参考にすれば、少なくとも業務マニュアルをどのように作成するべきかについてのヒントは得られるはずです。

業務マニュアルを作成する際に陥りがちなお悩み

業務マニュアルを作成する際、多くの方はいくつかの壁にぶつかり、簡単に引き受けてしまったことを後悔する羽目に陥ります。
陥りがちな主な「お悩み」を紹介します。

1. 情報を体系的に整理するのが難しい

まず第一に、業務に関する情報を体系的に整理することが難しい、という点が挙げられます。
ひとくちに「業務の進め方」と言っても、その中には「自分で作業する工程」、「正しく作業できているかを確認する工程」、そして「人に作業依頼する工程」など、さまざまな要素が絡み合って成立しています。まずはそれらを明確に切り分ける必要があります。
さらに時系列順に整理するのか、部署別に整理するのか、ワークフロー別に整理するのか、最初に大まかな流れを説明して徐々に細かい流れを説明してゆくのか、などの方針を決め、一貫性をもって説明しなければなりません。
こういった、言わば「設計」部分で躓くケース多いと思います。

2. マニュアルを補足していくことで文書が長くなる

業務に例外は付き物です(そもそも例外なしに単純な作業であれば、AIやRPAロボットに取って変わられてしまいそうです)。

特に、マニュアルの作成が必要となる業務は、Aの場合はこう、Bの場合はこう、Cの場合はこう・・・など、人が考え、判断している内容が多く、補足説明が必要となります。文章が長くなるばかりか、文書構造が複雑になり、結果として必要な情報が探しにくい、不親切なマニュアルとなってしまいます。
厄介な点は、「誰が作業しても業務マニュアルがあれば対処できるように、必要不可欠な情報を掲載しよう」と工夫したにも関わらず、それが読み手に分かりにくいマニュアルになる場合があります。「分かりやすくしよう」とした結果、業務マニュアルが分かりにくくなってしまっては本末転倒ですね。

3. ベテランの感覚で作ると新人が分かりにくい

業務マニュアルを作成する立場にある方は、当然ながらその業務の「熟練者」です。そして、人間は忘れる生き物ですから、自分が新人であった時の記憶など遠い昔に忘れ去っていることが多いでしょう。
すると、どういう事態が起こるでしょうか。あなたがベテランの感覚で作成した業務マニュアルでは、新人が絶対に知り得ないであろう知識が「知っていて当然」として書かれているかもしれません。また、あなた自身が業務上の事故を未然に防ぐために無意識に行っている確認作業が漏れているかもしれません。
実際の業務においては、時にこうした言語化の難しい部分が需要なポイントとなり得るのです。

業務マニュアル作成のプロに頼むとどうなるか

では、業務マニュアルのプロは、上記の3つの「お悩み」をどのように解決しているのでしょうか。それぞれの対策を以下に説明します。

情報を構造化するため分かりやすい

例えば、取扱説明書で以下のような説明を見かけたことはないでしょうか。

  1. 電源ボタンを押す
    画面に「POWER ON」が表示されます。

一見するとおかしな書き方です。1行目の最後には「。」ないのに、2行目にはあります。また、1行目の文末は「押す」なのに、2行目の文末は「表示されます」です。そもそも、日本語で「されます」などという受動態を使うのは不自然ですよね。
ところが、この説明方法を採っていることにはきちんとした理由があります。1行目は「手順文」と呼ばれるもので、ユーザーが「しなければならない」動作を示します。用言止めで書き、句点は付けません。対して、2行目は「結果文」と呼ばれるもので、機械からのフィードバックを示します。受動態で記述し、通常の文章と同様に最後には句点を付けます。ちなみに結果文を記述する理由は、ユーザーが「ここまで正しく操作しているか」を確認できるようにするためです。
これらは「テクニカルライティング」と呼ばれる技術の一例です。マニュアル作成のプロは、こうした技術を駆使して情報を構造化しているのです。

マニュアルが完成されているので補足が必要ない

あるテレビに、チャンネルを変える方法が3通りあるとします。本体上部についている[チャンネル+/-]ボタンを押す、リモコンの[チャンネル+/-]ボタンを押す、リモコンの[1]~[12]のボタンのいずれかを押す、の3通りとしましょう。
この場合、取扱説明書にそのまま「チャンネルを変えるには、本体上部についている[チャンネル+/-]ボタンを押すか、リモコンの[チャンネル+/-]ボタンを押すか、リモコンの[1]~[12]ボタンのいずれかを押します」と書かれていたとしたらどうでしょう。「今すぐチャンネルを変えたい、一番早い方法だけを教えてくれ!」とならないでしょうか。
すべての方法を説明することは、一見親切そうに見えて実はそうではないのです。なるべく応用範囲の広い、一番良い方法を選択して説明するのがプロの仕事です。

初めて見た新人にも分かりやすい

マニュアル作成のプロ(=制作ライター)は、作成前に実際にマニュアルを使う架空のユーザー像をできるだけ詳しく設定します。これを「ペルソナ(Persona)設定」と呼びます。
業務フロー全般についてどのような教育を受けているか、技術的な知識をどの程度持っているか、勤務歴はどの程度か、年齢は・・・などです。
その上で、どの程度までどこまで詳細に説明するか、を決定します。例えばパソコン操作についての説明なら、同じ操作でも「圧縮ファイルをダウンロードし、適当なディレクトリに展開する」と説明する場合も、「ダウンロードしたファイルをデスクトップにドラッグ&ドロップし、ダブルクリックする」と説明する場合もあります。
ペルソナを正しく設定することにより、「新人」にとって分かりやすい業務マニュアルを作成することができるのです。

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モダンは創業より40年以上にわたって、取扱説明書の制作や印刷などのサービスをお客様に提供してまいりました。

今回は、業務マニュアルの作成時に、陥りがちなお悩みを紹介し、プロのライターがそれらのポイントをどのように解決しているかを説明しました。もし「分かりやすい」業務マニュアル作成をご検討の際は、どうぞご遠慮なくモダンまでお声がけください。