イラストとは

技術的な情報をビジュアルで伝えるため、イラストレーションの技法を用いて描かれた図版を「テクニカルイラスト」と呼びます。製品マニュアルに使われるイラストなどで、誰もが一度は目にしたことがあるかと思います。


製品の使い方をマニュアルで説明する際、技術的な知識がない読者に対して、文章による説明だけでは技術情報は伝わりにくく、誤解を招く可能性もあります。そのため、イラストは説明文と同じくらい重要な要素とされており、マニュアルによっては、文章を一切入れずにイラストだけで構成されたものもあるほどです。

例えばマニュアルに「リセットボタンを押す」という説明文があっても、初めて使う製品では、そもそもリセットボタンがどこにあるかわかりません。それを文章だけで無理やり説明しようとすると「製品正面の右側の赤いボタンの下にある小さなボタン」といった長々とした表現にならざるを得ません。そんなマニュアルを誰が読みたいと思うでしょうか。

そこで重要になるのがイラストです。
ダメな製品マニュアルでは「製品のどの部分を指して説明しているか、読んでもわからない」表現が多々見受けられます。その理由の多くは、イラストが適切に使われていなかったり、そもそもイラストがまったくなかったりすることに起因しています。ここでは、PCを使ってイラストを描くにあたり、パースの取り方や線の上手な使い方といった、基本的なポイントを紹介します。

イラストを描くためのソフトウェアとしてはAdobe Illustrator®(以下、イラストレーター)が有名です。イラストレーターの操作は比較的簡単なので、一般のビジネスユーザーに使われることも多いようですが、イラストレーターはただの道具、いいかえれば鉛筆と同じです。鉛筆が持てれば誰でも作家になれるかというと、そうではありません。道具を使って何をするか、どう使うかが重要です。

イラストを上手に描くためのポイント

1) 自然なパースのついたイラスト

パースとはPerspective(パースペクティブ)の略で、近くのモノを大きく、遠くのモノを小さく描くことで立体感や遠近感を表現する描き方です。

2) 強調イラスト

製品マニュアルに掲載されているイラストを見たときに、どの部分を説明したいのかよくわからないことがあります。読み手を迷わせない工夫として、イラストの中で「説明したい場所や強調したい箇所がわかる目印」を入れるのも効果的です。

3) メリハリの利いたイラスト

線の太さを使い分けることも非常に重要です。外観の輪郭線と他の線の差をつけると、イラストが見やすくなります。さらに、線幅の差のつけ方で印象が変わってきます。

4) イラスト線の間引き

実物を忠実に再現することにこだわり、すべての線を描いてしまうと、見せたいポイントがぼやけることがあります。プロの描いたイラストでは、忠実にすべての線が描かれていることはあまりなく、上手く間引かれています。

自然なパースのついたイラスト

透視図法

人間の目には「近くにある物体は大きく、遠くにある物体は小さく」映ります。この遠近感を表現するいくつかの図法のうち、平行線の収束を用いた図法が透視図法で、この図法で描かれた図版は「パース」と呼ばれています。
透視図法には、消失点の数に応じて「1点パース(1点透視)、2点パース(2点透視)、3点パース(3点透視)」の3種類の描き方があります。

※消失点(しょうしつてん)・・・遠近法において、本来なら平行な2本以上の線を平行でなく描く際に、その線が交わる点を指す。

作画にイラストレーターを使う場合は、レイヤー機能を使って補助線を1つのレイヤーにまとめておくと描きやすくなります。簡単なイラストなら見た目で調整しながら直接描いてもいいでしょう。また、イラストレーターには、遠近法で描くために「遠近変形ツール」や「遠近グリッド」といった機能も用意されています。
透視図法を使えば、立体感や遠近感のあるイラストをかんたんに描くことが可能です。また作画の際には、視点の高さや位置をどうするかもポイントとなります。

強調イラスト

イラストは文章で説明しにくいものを、視覚的に理解してもらうために使われます。従って、どこを指しているのか読み手が迷ってしまうイラストなら、その役割を果たしていないことになります。イラストを見ただけで、直感的にどの部分を説明しているのかわかるような目印を入れるようにしましょう。
例えば[PRGボタン]をイラストで示したいとき、左下のイラストでは、全体の中でそのボタンがどこにあるか示せていません。右のように、周囲まで見せたうえで、色使いを少し工夫すれば、そのボタンがどこにあるかを一目で表すことができます。

メリハリの利いたイラスト

下のイラストは線幅に差をつけた例です。左のイラストはすべて同じ線幅で描かれていますが、右のイラストは外観の輪郭線を太く描いています。左右のイラストを見比べてみてどう感じますか?
線にメリハリ(輪郭線は太く、その他の線は細く)をつけるだけで、その物体の形状がより鮮明になって見やすいイラストとなります。

線幅の差のつけ方で変わる印象

線幅の差の大小によって受ける印象も変わってきます。一般的に差が小さいと固い印象、差が大きいと親しみやすい印象になる傾向があります。

イラスト線の間引き

イラストを作成する際に、実際に見えている線をすべて忠実に描き込んだからといって、わかりやすいイラストになるわけではありません。几帳面に描き込まれた線が逆にノイズとなり、本当に伝えたい部分や強調したい部分ぼやけてしまうこともあります。イラストを見る人に「どこを見せたいのか、何を伝えたいのか」に応じて、関係ない線を上手に間引いて簡素化する工夫が必要です。
以前、イラストレーターに「線を間引く基準は何か?」と尋ねたところ「そのときの勢い!」という返答がかえってきたことがありましたが、確かにこのあたりは勘や経験に基づくものが大きいのかと思います。

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